発明のポイントと言うか、発明の最も基本となる新規性や進歩性の原理を解決原理と言う。解決と原理という二つの言葉の組み合わせなので、一般的に使われているかと思うが、実は、特許発明の世界でしか使わない言葉である。

 しかしこの解決原理、特許や発明の時だけではなく、日常の様々な場面で、いつも、何かの問題解決を直球ど真ん中でズバリと決めること、それが大事ではあるまいか。

 よく、私たちは問題や課題を解決(処理)するときに、いくつかの方法を並行的に考案することがある。問題は一つであっても、複数のアプローチがあり(と思って)、それぞれのリスクや効果を図るのである。

 しかし、この複数の解決方法を考えた時点で、すでに解決原理がぼやけてしまうのではあるまいか。単純明快に解決原理をズドンと決めればいいのに、あれやこれやと考えた挙句、結局決まらない。そんなことである。

 話は変わるが、最近の大企業の不祥事を見るにつけ、やはり、この解決原理が決まらなかったのではないかと思うことがある。

 どこぞの不正経理もそうだし、データ改ざんも同じこと。要するに、問題を解決するときに売り上げや利益重視なのか、経営の根幹を成す信頼性のためなのか、そもそもの問題点がブレてしまい、もっとも基本となる解決原理に至らなかったのである。

 会計処理を完全に公開して、なぜ売り上げが伸びないのか、どうして利益が出ないのかを真正面から見据えれば、自ずと、その解決原理が見えてくる。

 売り上げが伸びないのは提供している商品やサービスが良くないというだけだ。それが分かれば、解決原理はただ一つ。顧客のニーズをしっかりと捉えた新事業や新商品を開発するということだ。

 データ改ざんも根っこは同じ。そもそもがコスト対応ができないからで、赤字で請け負うコストの亀裂と言うか歪みをどのようにして収めるか、それだけのことなのだ。

 だから、解決原理は極めてシンプルな原点回帰。営業を見直して、コスト割れするような仕事は取らないことにすればよい。