ドイツSiemens社には、2つの最先端デジタルファクトリーがある。1つは、本国ドイツのアンベルク工場。そしてもう1つは、中国・成都の「Siemens Electronic Works Chengdu」(SEWC)だ。

Siemens Electronic Works Chengdu(SEWC)の生産ライン
Siemens Electronic Works Chengdu(SEWC)の生産ライン
[画像のクリックで拡大表示]

 「ここは、本当に中国の工場なのか」――。記者がSEWCを訪れたとき、“上から目線”だと怒られるかもしれないが、それでもそう思わざるを得なかった。とはいえ、記者の第一印象はあながち間違っていないはずだ。なぜなら、SEWCにはアンベルク工場で採用している技術や手法がそっくりそのまま持ち込まれているからである。

 SEWCが設立され、生産を本格的に開始したのは2013年9月のこと。それから3年も経っていないが、SEWCの品質は既にアンベルク工場と同等のレベルに達しているという。Siemens Industrial Automation Products Chengdu社〔西門子工業自動化産品(成都)〕のGeneral Manager(総経理)でSEWCの責任者を務めるYong-Li Li(李永利)氏は、「最新のデジタル技術を惜しみなく投入することで、世界最高峰の品質を実現した」と胸を張る。

 近年、ドイツと中国はさまざまな面で結び付きを強めている。産業界でも、ドイツの「Industrie 4.0」(インダストリー4.0)および中国の「中国製造2025」という両国の産業政策を軸に連携を模索する動きが加速している。このような流れの中、Siemens社も中国重視の姿勢を鮮明にしてきた。SEWCの存在は、そのことを雄弁に物語っている。