IICのExecutive DirectorであるRichard Soley氏
IICのExecutive DirectorであるRichard Soley氏
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 産業用IoT(Internet of Things)の推進団体として世界の先端を走るIndustrial Internet Consortium(IIC)。そのIICが、2016年6月に日本で大規模な公開フォーラムやメンバーミーティングを開催した。その狙いについて、IICのExecutive DirectorであるRichard Soley氏に聞いた。(聞き手は、高野 敦)

――今回、日本で大規模な公開フォーラムやメンバーミーティングを開きます。その狙いは何でしょうか。

Soley 答えは非常に簡単で、日本からもっとたくさんの企業に参加してほしいからです。

 現在、IICには世界30カ国から250社以上が参加しています。そのうち約20%がアジアですが、アジアの中では日本が最も多くを占めています。最近は中国企業も増えていますが…。

 日本企業では、例えば富士通がスマート工場に関連した2つのテストベッドを実施するなど積極的に活動しており、このほどIICの運営を担うステアリング・コミッティー(SC)に選ばれました。他にも、名だたる日本企業が参加しています。しかし、まだまだ十分とはいえません。

――日本でもIICは広く知られるようになりましたが、日本企業の多くはまだまだ様子見という印象を受けます。

Soley まさにそれが問題です。実は、IICの会員になった企業でも、取りあえず見ているだけというところが少なくありません。決して日本に限ったことではないのですが、日本はそのような傾向が目立つのも事実です。

――何か理由があるのでしょうか。

Soley “混乱”しているということがあるかもしれません。つまり、IICの他にも産業用IoTの推進団体はたくさん存在するので、どこで何をすればいいのか分かりにくいのでしょう。日本だけでも、経済産業省と総務省が共同で設立した「IoT推進コンソーシアム」や、民間主体の「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ」(IVI)などがありますし、世界に目を向ければドイツの「Industrie 4.0」(インダストリー4.0)をはじめとして、各国で似たような活動が展開されています。