システムに振り回されてはいけない

 工場のIoT活用を推進する上で、デンソーが意識しているのは人を中心に据えることだ。「システムに人が振り回されるのではなく、人を中心にシステムが可変していく共創型のIoTシステムをつくっていきたい」(加藤氏)。

 例えば、IoT活用の中でビッグデータ分析やAIへの期待は大きい。しかし、機械が判断して自己解決するというアプローチは極力避けたいという。「ものづくりを知る人」を中心に、「なぜそうなるのか」「こう変えれば良くなる」といったことをきちんと人が理解した上で現場に適用していく方針だ。新しい問題やその解決策を考えるのはあくまで人であり、IoTはそのための情報を得る手段と位置付ける。このようなアプローチによって、欧米とは異なる日本流スマート工場の実現を目指す。

 とはいえ、「つなぐ」「分析する」のそれぞれについて欧米が先行している部分があるのも事実。そこで、DP-Factory IoT革新室を中心として、日本に「IoT本部」、北米および欧州に「IoT分室」を設け、世界3極体制でダントツ工場づくりを推進するという。

IoT活用の世界3極体制
IoT活用の世界3極体制
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