IoT活用の方向性は「つなぐ」と「分析する」

 加藤氏によれば、そもそもIoT活用の方向性は大きく2つに分けられるという。1つは、「つなぐ」ことだ。具体的には、工場と工場、ラインとライン、設備と設備などさまざまな階層をネットワークで接続する。それによって、大量のデータを収集することが可能になる。もう1つは、「分析する」ことだ。具体的には、人工知能(AI)やビッグデータ分析といった技術である。それによって、有用な知見を得られる。前者は情報の「量」を、後者は情報の「質」を高めるアプローチといえるだろう。

 前出のインダストリー4.0が「つなぐ」に比重を置き、データ収集やシステム連携を実現するための標準化を進めているのに対し、米General Electric(GE)社などが主導するIICは「分析する」ことを重視し、「テストベッド」に代表される実証的な活動に積極的に取り組んでいると、加藤氏は見る。ものづくり企業のデンソーとしては「どちらか片方だけではなく、両方の潮流をしっかり押さえた上で、仲間づくりや標準化を進めていくことが非常に重要になる」(同氏)。

インダストリー4.0とIICの位置付け
インダストリー4.0とIICの位置付け
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