京都発の自動コーヒー焙煎機

 前回紹介したように、サードーウェーブのコーヒーの原点は日本の喫茶店にあり、日本の喫茶店文化はサードーウェーブに大きな影響を与えた。日本のコーヒー業界は、伝統の喫茶店と米国発の新しいカフェなどさまざまな業態が存在している。その中には、全自動の焙煎機器を開発したメーカーもある。京都にある小さな機械メーカーだ。

 通常の焙煎機器では、コーヒー豆を焙煎する際に、時間や温度の管理などの経験と技術が必要だ。誰でも容易に作れるわけではない。京都の機械メーカーであるダイイチデンシは、同社の主力製品である制御盤で培った技術とノウハウを生かし、数年前に全自動の小型コーヒー焙煎機を開発した。煙が少なく、焙煎にかかる時間が短いのも特徴だ。店の中に置いても、それほどスペースを取らない。焙煎の様子も全工程を通じて外部から見られるようになっており、“踊っている豆”の演出効果も特徴の1つだ。普通の焙煎機器のイメージを大きく変えたまさに焙煎機器を再定義した製品といえる。日本国内では喫茶店やコーヒー豆の販売店など小口需要を開拓し販売を拡大している。国内だけではなく、新興国では経済成長などを背景に嗜好品であるコーヒーの消費が伸びているので、輸出も始めた。欧米への供給も目指している。筆者は、同社社長の中小路通氏と面会する機会があり、全自動の小型コーヒー焙煎機の開発コンセプトをうかがった。「テクノロジーでおもてなし」という同社長の回答を耳にしてとても感銘を受けた。これこそ、京都らしい、日本らしいものづくりだ。

自動焙煎機が導入されたカフェの一角
自動焙煎機が導入されたカフェの一角
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自動焙煎機の操作パネル
自動焙煎機の操作パネル
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