韓国政府は、医療とITの融合が医療現場を変え国民の幸せにも寄与するとして、複数省庁の協力のもとで、医療機関による医療情報共有を促進するための施策に力を入れている。こうした「医療情報共有活性化の土台構築」を、2015年度の保健医療分野の国家課題に掲げたほどだ。

 韓国保健福祉部は2015年8月、全国の医療機関の診療情報を医療機関同士で共有する「国家診療情報共同活用標準プラットフォーム」の構築に本格的に着手した(関連記事)。並行して、「ICT基盤医療情報交流標準モデル開発」の実証実験を行う。

 この実験では、勤労福祉公団病院(産業災害によるリハビリと介護を専門とする病院)2カ所、および産業災害指定病院6カ所の病院情報化システム同士をつなげる。患者の診療情報や検査記録を複数の医療機関が共有することで、重複検査や重複処方を防ぎ、医療費を節減できるかどうかを検証するという試みだ。2016年末までに150億ウォン(約17億円)の予算で実施。ICT政策を担当する未来創造科学部が主導し、保健福祉部や産業通商資源部(日本の経済産業省のような省庁)、雇用労働部(日本の厚生労働省に当たる省庁)が協力する。