年末の恒例企画として、今年も日経デジタルヘルス編集部では新たな1年を占う10大キーワードを選出しました。2018年を展望する10のキーワードを、五十音順で順に紹介していきます。

■前回の「編集部が選ぶ、2017年を占う10大キーワード」はこちら

2018年を占う10大キーワード(五十音順)

1)医師発イノベーション

 ここ数年、デジタルヘルス関連ベンチャーが増えている中で、医師自らが起業する例も目立つようになってきた(関連記事)。それを後押しする動きも出てきている。慶応義塾大学医学部は、医学部生の起業マインドの育成に向けたタスクフォースを立ち上げ、そのもとで「健康医療ベンチャー大賞」と呼ぶコンテストを2017年3月に開催した(関連記事)。経営やイノベーションについて学ぶ専門の教育プログラムも用意し、ビジネスの世界に飛び込むことも恐れない医療者を育てていく考えだ。

 医師が立ち上げたデジタルヘルス関連ベンチャーとして、2017年に目立った動きを見せたのが、キュア・アップ。2017年10月、かねて臨床研究を進めてきたニコチン依存症治療アプリ「CureApp 禁煙」の治験を開始すると発表した(関連記事)。同社社長で現役内科医の佐竹晃太氏が、スマートフォンアプリの治験という新たな領域に踏みだす。

 日経デジタルヘルスが臨床医向けサイト「日経メディカルOnline」の医師会員を対象に2017年末に実施したアンケートでは、「起業したいと考えたことがあるか?」という質問に対し、11.8%が「ある」と答えている(関連記事)。起業にまで至らなくても、医師と企業がタッグを組んで、臨床現場発のアイデアを実用化につなげようとする動きは増えている。2018年も、医師を起点とするイノベーションはますます加速しそうだ。

2)オンライン診療

 2018年はいよいよ、オンライン診療の本格的な普及に向けた節目の年になりそうだ。2018年度診療報酬改定で、オンライン診療に対する診療報酬が新設される見通しだからだ(関連記事)。

 2017年12月に開催された厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で、その基本方針が示された(関連記事)。対面診療と組み合わせることを前提に、再診患者に対するオンライン診療を診療報酬で評価する方向である。

 現場での実運用を意識したガイドラインづくりも、2018年に本格化する。厚労省は2017年11月、オンライン診療に関するルール整備のための研究班を発足した。2018年3月をめどに、オンライン診療の安全性や有効性に関するガイドラインを作成する。診療報酬での評価とガイドラインの策定は、医療機関がオンライン診療を導入する上での大きな後押しになりそうだ。