9)フードテック

 2017年3月に開催された「健康医療ベンチャー大賞」で社会人部門を制したLTasteが提案したのは、減塩技術“ソルトチップ”。数mm角のチップを歯の裏に付けておくだけで、「美味しく減塩」できるというものだ(関連記事)。このように、味覚を制御する技術は他にも幾つか登場してきている。

 一方、フィリップス・ジャパンは2017年11月にCOPD患者を「食」からケアする取り組みを発表(関連記事)。糖尿病患者にフルコース料理を提供するというコンセプトで竹屋旅館が取り組む「メディ・シェフ」の育成と認定にも注目が集まっている(関連記事)

 このように「食」をさまざまな観点から活用する取り組みを、多様なプレーヤーが着手し始めている。2018年はこうした動きがますます加速しそうだ。

10)薬局×デジタルヘルス

 単なる“医薬品提供の場”から、利用者の日々の健康を支えるヘルスケアサービスの提供者へ――。こうした薬局の役割の再定義に向けて、ICTを活用しながら取り組む動きが2017年は少しずつ出始めた(関連記事)

 その一つが、スマートフォンアプリを利用した生活習慣病患者の健康管理や重症化予防などに、薬局薬剤師が介入することで効果を高める取り組みである。2型糖尿病患者やその予備群を対象とした自己管理支援アプリの実証研究(関連記事)、神奈川県が取り組む医療・健康情報管理アプリ(関連記事)などがその一例だ。

 一方、2017年11月にはMR(複合現実)技術を活用した調剤支援システムの実証実験が始まるなど、従来の薬局業務に向けたICTツール導入の潮流も生まれてきている(関連記事)。ヘルスケアサービスの提供者という新たな役割と従来の役割の両面で、薬局とデジタルヘルスの融合は2018年にますます進むことになるだろう。