7)デンタルヘルス

 2018年に多くのイノベーションが生まれそうな領域の一つが、歯科である。歯や口腔の状態は全身の健康に影響することが明らかになっており、その生涯にわたるケアは健康長寿に欠かせない。食事や歯みがきは誰にとっても身近な日常の行為であり、これらを入り口にしたさまざまなサービスの登場が見込まれる。歯科医院はコンビニエンスストアよりも多く存在することから、ヘルスケアサービスにおける一般生活者とのコンタクトポイントとしてもその重要性を増しそうだ。

 既に相次いでいるのが、歯ブラシ連動サービス。オムロン ヘルスケアは2017年11月、医師や歯科衛生士が指導した歯の磨き方をアプリ上で再現できる電動歯ブラシ連動サービスを開始(関連記事)。サンスターと富士通は同年12月、スマートフォンと連動する歯ブラシと歯科医院向けクラウドサービスを連携させたサービスを発表した(関連記事)

 歯科治療のシミュレーションにも、先端技術が取り込まれつつある。2017年3月には、MR(複合現実)技術を用いた歯科治療シミュレーションシステムが登場した(関連記事)。2018年は、スマートフォンアプリやビッグデータ、AI(人工知能)、ロボティクスなどを用いた歯科治療支援システムの提案が増えそうだ。

8)2018年度診療報酬・介護報酬同時改定

 2018年は、2025年に向けて実質最後の診療報酬・介護報酬の同時改定が予定されている。前回の2016年度診療報酬改定ではデジタルヘルスとの関連は一部に限られていたが、今回の改定ではデジタルヘルスにかかわる領域の話題が大きく増えそうだ(関連記事)

 診療報酬改定では、オンライン診療(遠隔診療)を含め、外来・在宅医療の分野などでの評価に注目が集まる(関連記事)。介護報酬改定においても、要介護度改善ソリューションや見守りセンサー、ロボットなどが対象になってくる可能性がある。

 次世代の医療・健康・介護に向けたイノベーションであるデジタルヘルス。それが少しずつ、既存の医療・介護インフラに溶け込み始める。2018年はそんなキッカケの1年になりそうだ。