5)続「保険×デジタルヘルス」

 2017年にデジタルヘルス分野との連携の動きが最も目立った業界の一つが、保険業界だ(関連記事)。各社は、ICTなどを活用して保険サービスの効率や収益性を高めるInsurTech(インシュアテック)に本腰を入れている。デジタルヘルス分野の取り組みはその柱の一つという位置付けである(関連記事)。

 例えば、第一生命保険は「健康第一プロモート」と呼ぶプロジェクトを立ち上げ、顧客の健康を支援するスマートフォンアプリの提供を開始(関連記事)。メットライフ生命保険や明治安田生命保険、アクサ生命保険なども、デジタルヘルス分野の取り組みを加速させている(関連記事)。

 各社が重視しているのは、異業種との連携を通じたサービス開発である(関連記事)。デジタルヘルスベンチャーや薬局、健康機器メーカー、自治体など、保険サービスとの連携が考えられるパートナーはさまざまだ。2018年は、こうした連携の動きがより一層加速しそうだ。

6)脱ヘルスケア

 「ヘルスケアサービスがうまくいかないワケ」の答えとして、ソニーコンピュータサイエンス研究所の桜田一洋氏が指摘したのは、多くのヘルスケアサービスが一人ひとりの違い(幸せなどに対する価値観)を考慮せず、“健康”という標準解にもっていこうとしている現状だった。

 健康そのものではなく、一歩先にある付加価値、つまり健康という基盤の上で個人や組織が成し遂げたいことは何なのか。そこに焦点を当てたBtoB/BtoCのサービスやプロダクトの開発が2018年以降は重要になってくるだろう。

 ここにきて、「幸福度」やそれに関連があるとみられる指標を身近なデバイスで計測する技術も登場しつつある。社員の幸福度と経営指標の関連を検証する取り組みも進んでいるようだ。これらの動きも、単に健康だけを目的としない“脱ヘルスケア”へのシフトを後押ししそうだ(関連記事)