日経デジタルヘルスは2016年11月30日、日経デジタルヘルス年鑑2017を発行しました。先日、本コラム欄に掲載した「この62社のベンチャー、すべて知っていますか?」にも記した通り、第4章には「ベンチャー/スタートアップ総覧」を収録。62社のデジタルヘルス関連ベンチャー/スタートアップについて、現在の事業概要の紹介はもちろん、今後の事業展望や提携先への希望などを、各社へのアンケート調査を基に掲載しました。

 さらに、第3章「分野別動向データベース」では、約100の企業、約30のベンチャー企業、約30の医療機関・介護施設、約30の官公庁・自治体について、この1年の動向を整理しました。本書の目次ページをご覧いただくと、特にこの第3章と第4章を中心に「プレーヤー」に着目して編集したことを感じていただけるかと思います。

『日経デジタルヘルス年鑑2017』
『日経デジタルヘルス年鑑2017』
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 2016年のデジタルヘルス業界で話題の中心にあったのは、製薬業界×デジタルヘルスでした。製薬各社が、デジタルヘルスを取り込んだ新たな価値の提供を模索し始めたのです。この動きは何を意味しているのか――。単に、昨今の製薬業界を取り巻く危機感だけに話を帰着させてしまうのは間違いです。

 社会全体が医療の担い手となる「ソーシャルホスピタル」。この新たな方向性へと医療を取り巻く構造が変化していく中で、製薬業界をはじめとする既存プレーヤーの役割も大きく変わっていく…。そこにこそ、事の本質があります。デジタルヘルス企業との連携を進める、ある製薬企業の担当者はこう語ります。「誰も、そして我々自身も、今後の姿が見えていない。だからこそ、オープンイノベーションの形でパートナーを探し、カジュアルにディスカッションしていきたい」。大変革期への突入が、目の前に迫っているのです。

 同時に起こるのは、新たな役割を担う新規プレーヤーの登場。そして、新たなビジネスモデルに課せられる役割の増大です。その過程では、小回りを利かせ、特定のテーマで素早く試行錯誤を繰り返すベンチャー/スタートアップ企業の役割も見逃せません。国内でのデジタルヘルス関連ベンチャー/スタートアップの数がようやく増えつつあるのも、こうした変化の前触れなのかもしれません。

 日経デジタルヘルス年鑑2017で、「プレーヤー」の動向に着目して情報を網羅した意図はここにあります。既存プレーヤーに新規プレーヤー、そしてベンチャー/スタートアップ企業が渾然一体となってソーシャルホスピタルの時代へと向かう今、それぞれの「プレーヤー」が何をやっているのかを整理することが、今後の価値創出に向けたさまざまな連携に欠かせない情報だと考えたからです。ぜひ、みなさまのお仕事における新たな価値創出向けて、日経デジタルヘルス年鑑2017をご活用いただければ幸いです。

 なお、今回はアンケートのやり取りを実施できたのが「62社」でしたが、1年後の次回は「ベンチャー/スタートアップ100社以上」の掲載を実現したいと考えています。