「おもしろいベンチャーだね」。2015年3月に、あるベンチャー企業をインタビュー記事で取り上げた際、読者・取材先からこのような反響を幾つかもらいました。

“宇宙技術”で無呼吸症候群イノベーションを

 筆者も同ベンチャーの存在を知ったのは、インタビューを実施するほんの少し前。あれから1年半以上を経過した先日、同ベンチャーが60億円もの大型の資金調達を実施したというニュースが流れてきました(関連記事)。今では、このベンチャー企業の名も、かなり知れ渡ってきています。

 「米国では、ベンチャーキャピタルのデジタルヘルス分野への投資額は、ここ6年間で6~7倍に伸びた。非常に盛り上がり、crowdedな(混みあった)状態だ」(米国シリコンバレーのベンチャーキャピタルであるMitsui&Co. Global Investmentの清峰正志氏)。こうした米国の状況からは確かに遅れを取っているものの、国内デジタルヘルス関連ベンチャー企業の大型資金調達の話題は、冒頭の例に限らず、ここにきて少しずつ目立ち始めています。

 グロービス・キャピタル・パートナーズ プリンシパルの福島智史氏は、有望なベンチャー企業には人気が集中していると語ります。「ヘルスケアベンチャーは勝ち組が非常に限られる。そのため、(協業の)交渉の場ではむしろヘルスケアベンチャーの方が立場が強くなる。自社のオフィスにベンチャーを“呼びつける”ような態度では、力の弱いベンチャーとしか組めないだろう」(同氏)。これは、ヘルスケアベンチャーと組みたい大企業側にどのような姿勢が求められるのかを説いた、「デジタルヘルスDAYS 2016」のオープンシアターでの発言です(関連記事)

 今後、デジタルヘルス領域での新たなビジネスモデルの構築には、小回りを利かせ、特定のテーマで素早く試行錯誤を繰り返すベンチャー企業の役割は見逃せません。さらに、こうしたベンチャー企業と大企業の連携による、事業のスケールも重要になってきます。

 大企業系の取材先と話をしていると、よく耳にするのが「国内でもデジタルヘルス系のベンチャー企業が増えている感覚はあるが、どんなベンチャー企業が出てきているのか、なかなか整理できていない」といった声です。日経デジタルヘルスでは、個別のベンチャー企業の話題については記事で取り上げてきましたが、なかなか網羅的に取り上げる機会はありませんでした。

 そこで、日経デジタルヘルスが2016年11月30日に発行する『日経デジタルヘルス年鑑2017』では、第4章として「ベンチャー/スタートアップ総覧」を設けました。ここでは、62社のデジタルヘルス関連ベンチャー/スタートアップについて、現在の事業概要の紹介はもちろん、今後の事業展望や提携先への希望などについても、各社へのアンケート調査を基に掲載しています。

『日経デジタルヘルス年鑑2017』の第4章に収録した62社
『日経デジタルヘルス年鑑2017』の第4章に収録した62社
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 おそらく、この62社すべてを知っている読者は多くないのではないでしょうか(もちろん、既に良く知られていて規模が大きくなっている企業も含まれています)。この62社の中からも、1年後に大きな飛躍を遂げている企業が出ているかもしれません。“勝ち組が限られる”中、ぜひ有望株を見つけてみてください。