125品目中97品目の健康食品が不適切な表示や広告

 食品に関する広告の表現は、以前から複数の法律で規制されている。例えば、健康増進法では健康の保持増進効果などに関する虚偽・誇大な表示の禁止が、医薬品医療機器等法(薬機法、旧・薬事法)では医薬品的効能効果などの標榜の禁止が規定されている。

 違反した場合の処分は法律によって様々だが、例えばある健康食品が健康増進法第26条第1項の規定に基づく特定保健用食品の許可の要件を満たしていないのに、まるで特定保健用食品かのように表現されていたと判断され、事業者に数千万円の課徴金納付命令が出されたこともある。とはいえ、規制の抜け穴を通るような表現がされていたり、時には全く不適切な表現を含んだ広告も存在している。筆者は、サプリメントの広告などを目にしたとき、「この表現はセーフなんだろうか……」と考えてしまうことも多い。

 実際には、全くセーフではない表現が多いようだ。東京都が2017年3月に公表した「平成28年度健康食品試買調査結果」の中で、健康食品の広告や表示における不適切な表現の具体例が挙げられている。それによれば、例えば「集中力・記憶力の低下を防ぐ効果があると言われている」という表現は健康増進法上、消費者に誤認を与える可能性があるという。また、「ついてしまった肥満成分を燃焼」「1日たった1粒でウエスト-○cm! 体重-◯kg!」という表現は景品表示法上、表示の裏付けとなる合理的根拠がなく、消費者に優良誤認させる恐れがあると指摘。「アトピーのかゆみ・あせもの治療」「生活習慣病予防」といった表示は薬機法上、疾病の治療や予防を目的とする効能効果に該当し、医薬品とみなす標榜だとした。

 こうした基準に沿って、東京都が実際に健康食品を購入して調査したところ、店舗で購入した製品では45品目中17品目に、インターネットなどの通信販売で購入した製品では80品目中67品目に不適正な表示や広告が見られた。東京都は、不適正な表示や広告を行った事業者に改善を指導しているという。