日経デジタルヘルスの2017年2月アクセスランキングには、座談会「情報化が切り拓く、ソーシャルホスピタル実現への処方箋」の記事が多く顔を出しました。中でも、特にアクセスが多かったのが、第2位の「効率化、やめませんか?」と第4位の「これ本当に医師の仕事?“当たり前”を一回捨てよう」です。

 第2位の記事は行政官庁から、第4位の記事は医療現場からのパネリストの発言をまとめたもので、記事タイトルも大きく異なります。しかし、実はこの2つ、どちらも似たようなメッセージを発信しています。

 第2位の記事の一部を引用します。 「パーツの効率化は全体の解ではありません。お金がないから効率化を図るという考え方が根付いていると感じます。しかし、介護の問題は介護の中で、医療の問題は医療の中で答えを出そうとする姿勢こそが破綻に導いているのではないでしょうか」

 第4位の記事の一部を引用します。 「極端なことを言うと、医療費を減らすために効率化を図ることは当たり前というのは本当に正しいのでしょうか。(中略)医師の役割に関しても、私自身病院の中で働いていると『これ最後に医師がやらないといけないの?』と疑問に思うことがよくあります。(中略)薬剤師や看護師が、各々の専門性をもってすれば判断できる作業が多分にあると思うのです」

 医療周辺をめぐる課題といえば、とかく医療費の高騰が挙げられ、それを削減するためには何をすべきかという議論になります。これはある意味、間違っているわけではないでしょう。しかし、その方法として各分野内での効率化の議論に落とし込まれていることが本当に正しいのか――。2つの記事が投げかけているのは、そんなメッセージだと思います。

 医療をより広くとらえた上で、さまざまなプレーヤーの役割を再定義する。今回の座談会では、前出の2つの記事以外にも、こんなメッセージが含まれた記事が多くあります。今後、さまざまなプレーヤーの役割変化が必要なことは、日経デジタルヘルスでも度々発信してきましたが、今回の座談会での各パネリストの発言を通して、あらためてその重要性を再認識した次第です。