GHSはグレーゾーンの補完になりうるか

 一方で、GHS登録数から見える業界の反応も気になる。2年間の登録数がわずか50件余りでは、この基準制度の認知度も今一つというしかない。

 医療機器と健康機器の境目あたりが狙いどころだと思われるが、業界団体としての「ヘルスソフトウェア推進協議会」のリーダシップも十分なのかどうか。特にこの分野に積極的なメーカーに話を聞いてみても、「そんなのがあるのですか」という反応が多いのが実情だ。

 IoTの時代といわれる現代において、医療機器や健康機器がハードウエアからソフトウエアへと軸足を移しつつある。その機運からすれば、ソフトウエアの自主基準を推進する意義は大いにある。しかし、その意義をPRすべき団体も、そのことに関心を示すべきメーカー側も、共に様子見的な状況であることが否めない。

 医療機器プログラムとの関連でいえば、規制対象はクラスⅡ以上というくくりがある。クラスⅠ相当の医療機器プログラムはなぜか存在せず、「機能の障害等が生じた場合でも人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないもの」については、有形(ハードウエア)でなければ汎用品扱いとなる。少なくとも、この領域でのGHSの活躍の場もあるのではないのか。この辺の課題は、規制側や協議会側でも相互補完などの必要がありそうだ。

 いずれにせよ、施行から2年が経ったソフトウエア規制は、規制側・被規制側とも手探り状態である。早く軌道に乗せないと、この分野でもまた「開発ラグ」をきたしてしまう危惧がある。