2014年11月25日に施行された「医薬品医療機器等法(薬機法)」によって、「使用目的、効能又は効果等を有するソフトウエア」も医療機器の規制対象となった。しかしながら、その対象は第三者認証機関による認証とPMDAによる承認によるものであり、クラスⅡ以上の医療機器プログラムに限られる。クラスⅠ程度のプログラム(ソフトウエア)はどのようにすべきか? 薬機法の施行から2年、ソフトウエア関連の動向について調べてみた。

ソフトウエア申請には消極的

 まずは、これまでの医療機器プログラムの認証・承認数、そして規制開始とともにスタートした業界基準「GHS」(Good Health Software)の登録数についての表を作ってみた。

筆者が作成
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 これを見ると、プログラム単体での認証・承認の取得件数はこれまでのハードウエア中心のものに比べて非常に少ないことが分かる。我が国の薬機法では、ここ10年間でクラスⅡの第三者認証の取得数が最も多く、年間平均1600~1700品目程度もある。これに比して、ここ2年間で医療機器プログラムのクラスⅡ認証は約150件程度で、全体の5%にもならない。クラスⅡとクラスⅢの承認にいたっては、認証とは桁違いの低い数字が出ている。

 一方、GHSの登録は、ここ2年間で51件とこちらも少ない。医療機器プログラムのクラスⅡの認証の1/3程度である。

 これらの状況から推測するなら、鳴り物入りでスタートしたソフトウエアの規制に関し、申請者が二の足を踏んでいる、というのが偽らざる事実である。日本の医療機器メーカの一つの特質とも受けとめられるが、新規事業や新規規制への対応といった面での消極性が裏打ちされているようだ。本来なら、こうした法規制ができたなら、それに対応できるストラテジーが打ち出されてしかるべきだ。

 この中にあって、唯一ともいうべき明るい材料も提供しておこう。これまでは、クラスⅡおよびクラスⅢの認証・承認についていうなら、すべて一般的名称と認証基準が存在するものだけが認可されていた。ところが、2016年11月14日付でハートフロー・ジャパンが取得したのは、承認基準のない新規プログラム。循環動態解析プログラム「ハートフローFFRCT」は、その区分での取得第1号となった。従来の慣例を打ち破る一つの実例として、業界の一大快挙と受け止めていい。

 ハートフローFFRCTは、数値流体力学シミュレーションにより非侵襲のCTのデータを用いてFractional Flow Reserve(冠血流予備量比)を算出するプログラムである。冠動脈疾患が疑われる患者に関して、CTからの計算で非侵襲測定可能な点が新しい。