この種の書籍で、これまでも業界で好評だった『医療機器への参入のためのガイドブック』が全面改訂され、『医療機器への参入のためのガイドブック 第2版』として、2017年12月に出版された。医療機器産業への参入が普遍化している時流に即し、その流れに乗った企画でもある。一方、医療機器開発にとって、医学側から見た医工連携についても考察するべきテーマも多い。ここでは、医工両面から見た医療機器産業に関する2冊の参考書について紹介したい。

8年で業界のニーズが変化

『医療機器への参入のためのガイドブック 第2版』(NPO医工連携推進機構編、薬事日報社)
『医療機器への参入のためのガイドブック 第2版』(NPO医工連携推進機構編、薬事日報社)

 8年前に出版された『医療機器への参入のためのガイドブック』の第1版は、このところの「医工連携ブーム」ともいえる現象を導き出した導入役になったともいえる。これにより、異業種である部材メーカーや加工業関連、ソフトウエア関連など新規参入企業にとっての「ガイド」ともなってきた。

 結果としては、入門書的な役割であるにもかかわらず、従来の専門メーカーにも影響を与えることになったため、医療機器産業全体の活性化に寄与したともといえる。第1版の発行部数が予想外に多かったことは、その証左といえるだろう。

 ところが、出版後8年にもなると、この間に関連法規制が「薬事法」から「薬機法(略称)」に代わった。また、実務経験を積み始めた新規参入企業も多く、さらに専門的な疑問や将来構想への意欲も出てきている。こうした要望に応えるため、第1版の改定が必要となっていたのだ。

 今回の改定では、大幅な増補がある。項目的にいうなら、医療機器と重なる関連分野である福祉機器への展開、最近の各種支援事業の紹介、新規参入成功事例の紹介などがあげられる。そのため、第1版と比較して60ページほどの追補となっている。

 また、医療保険に関しては、医療機器の価格との関係が追加されたため、医療機器ビジネスの実践書としての役割も出てきた。つまり、参入という新規事業へのステップから始まって、その次の実際の医療機器ビジネス展開への指南の役目も出てきたといえる。そのことからするなら、法規制対応をはじめとする参入指南から、事業化を見据えたビジネス向けの書籍としての価値がある。医療機器ビジネスに行き詰まっていると感じている企業の方々にとっては、多くのヒントが隠されているだろう。