国際規格化という“強力ツール”による商品化戦略

 今回の経済産業省の発表にある通り、個別規格・IEC 60601-2-75が制定されたことのメリットは大きい。特殊技術を含む製品を保有する企業や国にとっては、規格策定の当事者として活動できるため、原案作成の主体者となれる。したがって、当該医療機器の規格(ルール)をコントロールしやすく、舵取りもしやすい。しかも新規製品ゆえ、市場動向を見据えつつ製品化に向けての「商品戦略」を練ることが可能だ。

 これまで、日本で発明された医療機器は、パルスオキシメータやOCT(Optical Coherence Tomography:光干渉断層計)などあるが、先に海外にて製品化され、かつ国際規格化も外国からの発案で、日本に主導権がないまま決定されてしまった事例がある。

 こうなると、せっかく開発した国内独自技術が製品化の過程で、外国製品に遅れ劣る結果にもなり、世界市場を目指すケースなどでは圧倒的に不利ともなりえる。こうした事態を避けるうえでも、日本独自の開発品は、その特徴となる項目を含めた「国際基準化」をしておくことで、大きなメリットとして還元される。

 新製品開発の企画を行う上では特許戦略もあるが、それにも並行して国際規格化という戦略の意義を考慮しておくべきだろう。商品化が実現した暁には、国際競争力の高い製品として輸出促進にとっての追い風となるからだ。