2017年度の医療機器の回収数は2016年度に比べほぼ同数で推移、何らの進歩も見られない。ちょうど1年前のコラム「医療機器の回収、なぜこれほど多いのか」では、この問題点について記した。ここでは、もう一度、医療機器業界を取り巻く回収問題について振り返る。

回収状況に見る現実の課題

 2017年は、国内大手企業の「品質管理問題」が多くのメディア、新聞の紙面を賑わせた。Google、Yahooといった主要なWebサイトのトップニュース速報として目にした読者も多いだろう。日本の産業界にとって、早く解決策を探すべき喫緊の課題でもある。

 医療機器の回収や医薬品の回収も例外ではない。ほぼ毎日といっていいくらいPMDAから発表される回収情報に、眉をひそめている関係者も多いはずだ。とりわけ、人間の命を預かる医療機器の回収は、いっそう注意を払わないといけない。薬機法が施行されて既に3年半ほど経過したが、OMS体制の強化やリスクマネジメントの徹底を目途としながら、回収についていうなら、足踏み状態、むしろ、悪化の一途をたどっているともいえる。

 下表は、ここ1年間(2017年度)に発表された回収情報をもとに、昨年(2016年度)、一昨年(2015年度)の集計データと比較したものだ。

回収件数の集計(表:PMDAの公表資料を基に筆者が作成)
回収件数の集計(表:PMDAの公表資料を基に筆者が作成)
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 総数としては微減といえるが、一番問題なのは、クラスⅠにおける重大回収が増大していることだろう。1年前のコラムでは、クラスⅠだけは「皆無」にしてほしいと訴えたが、逆に「年々増加」に転じているのは、誠に残念というしかない。