やるのか、やらないのか決めてください

川口 その逆に、賞金が発生しない、名誉だけを競うようなゲームでは日本人プレーヤーが上位に食い込んだりもしている。とてもあっさりとしていて、「こういうところも含めて日本人ってそういう人だよね」という気もします。

 とはいえ、先ほどアトキンソンさんがおっしゃったように、何もしなくても日本が成長できた時代は終わっています。これからは様々な工夫をして、賢くならないと生き残れなくなっている。

 そうなると、ナショナルブランドイメージというものが求められるようになります。日本人と聞いた時に、海外の人々はどんなイメージを抱くのか。

 「財布を落としても必ず戻ってくる」というようなエモーショナルな話ではなく、データに基づいて、客観的に見た日本人像とはどのようなものか。それを突き詰め、そこに価値を付加することで、お金に換えていくことが、これからの時代には必要になってくると思っています。

アトキンソン 川口さんの本を読んで、「日本人はやればできるんだ」ということがデータで証明されていると感じました。ビジネスでも、トヨタ自動車のように「やればできる」ことを証明している企業がある。ただ、多くの人がそこまでやっているかといえば、そうではない。

 「お金が汚いもの」という考え方は武士の精神で日本的なのだという人もいますが、歴史を見れば、武士は当時の人口構成比の8%でしかなくて、残りの92%はお金のことを考えていたわけです。

 私の講演では「やるのか、やらないのか決めてください」と、最後に決まり文句を話します。「日本人はやればできる」ということが分かっているのに、なぜやらないのか。これは私が日本で生活した26年間の大きな謎なんです。