3米セント/kWhを達成する行程

 「3セント/kWh」という目標はかなり挑戦的に見えるが、実際にそれを達成するためにさまざまな現実的な行程が挙げられている。

 例えば、太陽電池 、太陽電池以外のハードウェア、ソフトとO&M(運転管理・保守点検)のコスト削減、太陽電池の変換効率とシステムの信頼性の飛躍的な向上・改善、が含まれている。さらに、資本費の大きな削減もプラスになるとされている。

 2030年のゴールの3セント/kWhに達成するための行程の一つに、以下のコンビネーションが例として挙げられている(図2)。

図2●サンショット太陽光発電コスト2030年ゴールに達成するための行程(出所:The Department of Energy)
図2●サンショット太陽光発電コスト2030年ゴールに達成するための行程(出所:The Department of Energy)
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(1)持続可能な太陽電池コストの削減:65セント/Wから30セント/Wへ
(2)バランス・オブ・システム(太陽電池以外のその他のシステムコンポーネント)とソフトコスト削減:85セント/Wから55セント/Wへ
(3)太陽電池の信頼性を改善:耐久年数を30年から50年に伸ばし、出力低下率を年間0.75%から0.2%に
(4)O&Mコストの削減:年間14ドル/kWから4ドル/kWへ

 DOEサンショットのプログラムを統括するディレクターのチャーリー・ゲイ博士は、太陽電池の価格削減について、「持続可能な」形で成し遂げられなければならないと語った。

 今年に入り太陽電池の供給過剰と在庫量の増加で平均小売価格(ASP)の下落スピードがますます速まった。しかし、いくら価格が低下しても、太陽光発電に関わる企業の採算が悪化し、利益が出せなくなってしまったら、「持続可能な」太陽光発電産業は育たない。そのためにも、「企業にとって利益の伴う持続可能な価格削減が重要」とゲイ博士は言う。

 コスト削減に加え、DOEはさらなるグリッド統合を可能にするため、グリッドの柔軟性、コミュニケーション、そして制御機能の向上も研究開発に含めている。