ハワイ州は太陽光発電産業において「未来からの絵葉書」と呼ばれる。その理由は太陽光発電の大規模導入により将来、本土で起こりうると予想されているイベントが、このハワイ州で全て既に起きているからだ。イベントとは、グリッドパリティー、分散型太陽光発電システムの接続保留、メガソーラー(大規模太陽光発電所)への蓄電池併設による出力抑制防止など──。ハワイ州では、全米の太陽光発電設置容量の50%以上を占める本土カリフォルニア州よりも一足先に、これらを経験済みで、本土の電力会社はハワイ州の行動から目が離せないのである。

 そんなハワイ州でまた「全米初」のイベントが起ろうとしている。

 太陽光発電は、日照条件で出力変動し、さらに必要な時に発電できないという欠点がある。しかし、蓄電池の併設により、メガソーラーの急峻な出力変動を平滑化したり、または昼間の余剰電力を貯めておき夜間に放電したりすることが可能になった。既に米国本土でも、蓄電池を併設する手法は採用されている。

 しかし、今回のハワイでのケースは、蓄電池の併設によって昼間の発電を「夜間用」に使用する。つまり、メガソーラーを「夜間用電源」として活用するものだ。

 ハワイ諸島の最北端に位置するカウアイ島をサービス管轄に持つ電力会社Kauai Island Utility Coop(KIUC)社は、メガソーラーと蓄電池を合わせた長期電力購入契約を米SolarCity社と交わしたことを今年9月に発表した。米SolarCity社は、米国の住宅用太陽光市場でシェアトップを握る企業だ。

 今回の契約は、KIUK社とSolarCity社との2回目のパートナーシップを意味する。KIUC社は、2014年に運転開始した「Koloa」と呼ばれる、SolarCity社の出力14MW(連系出力12MW)のメガソーラーから電力を購入し始めたばかりである(図1)。

図1●昨年9月に発電を開始した14MWのメガソーラー「Koloa」(出所:SolarCity)
図1●昨年9月に発電を開始した14MWのメガソーラー「Koloa」(出所:SolarCity)
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