輸入太陽電池に関税や最低価格も

 米国の太陽光発電市場は貿易論争の真っただ中にある。

 9月22日に、米国際貿易委員会(U.S. International Trade Commission:米ITC)は、大量に輸入された低価格な結晶シリコン太陽電池で国内製造業が深刻なダメージを受けたと認定した。これにより、関税など貿易救済措置によって、今後、米国内に流通する太陽電池の価格が上る可能性が出てきた。

 こうした事態のなか、「米太陽光市場は、今後落ち込むだろう」と、悲観的な意見が米国内外で飛び交う一方で、「2017年は持ちこたえそう」という見方も出てきた。

 ことの発端は、今年4月に米太陽電池メーカーのサニバ社が、米ITC に輸入結晶シリコン型太陽電池セル(発電素子) に新たな関税、そして米国以外で生産された結晶シリコン型太陽光パネルに最低価格を課すように提訴したこと。これは、中国、東南アジアなどから安値で輸入される太陽電池セル・パネルから米国の製造業を保護するためである。

 ITCの決定は、この提訴を概ね認めたものだ。この一件の評価を巡り、米太陽光発電産業では賛否が分かれている。

 関税による国内産業保護への賛成者は、当事者であるサニバ社とドイツに親会社を持つソーラーワールド・アメリカ社。反対派は、主に太陽光発電産業の川下チャンネルでビジネスを営む施工会社、プロジェクトデベロッパーが含まれている。