実際には「最悪と最良の間」

 米ITCが「ダメージ認定」を公表して以来、現在、米国太陽光発電産業関係者は米ITCによる「国内製造業への救済策」の聴聞会用の資料作成に追われている。

 「誰も何が起こるか分からりません。 分かっているのは、最悪のケースです。それはサニバ社が求めている全ての救済措置が実現すること。一方、最良のケースは、何も救済策が出ないことです。(ITCの出す救済策は)それら2つの間になるでしょう」と、ミンツ氏は語った。

 ちなみに、サニバ社が輸入制限を申請したとき、輸入される結晶シリコン太陽電池のすべてに対し、パネルには$0.78/Wの最低価格、セルには$0.40 / Wの課税を要求した。ただ、ITC聴聞会向けでは、パネルには$0.74/Wの最低価格、セルには$0.25 / Wの課税と、当初より下げた額を要求した。

 近年の歴史を振り返ってみると、米太陽光発電市場は貿易紛争を経験しつつも、それを切り抜け、拡大してきた。 2012年ソーラーワールド・アメリカ社が中国から輸入されたセル・パネルに対する制限措置を求め提訴した。 調査の結果、中国から輸入されたセルとパネルに関税が課された。 2014年ソーラーワールド・アメリカ社は提訴の内容を改正し、台湾から輸入されたセルを制限措置の対象に含め、関税が課されることになった。 関税による価格上昇に対する懸念が高かったにもかかわらず、価格は大幅に上昇しなかった。

 しかし、かりに今回、関税が課されれば、(セル・パネルの)価格は輸入業者がマージンの関税を吸収するには低すぎるため、「価格は上昇する」とミンツ氏は指摘する。

 「ほとんどのケース(住宅用の)エンドユーザーは関税を知りません。 ネットメータリング制度が充実していて、30%の投資税額控除(ITC)が有効で、施工業者が最低価格や関税を吸収できる場所(州)では、(市場の成長は)途切れなく継続すると思います。 開発中のいくつかの(大規模)プロジェクトは中止となる可能性もあるものの、ほとんど(のプロジェクト)が継続するでしょう」と、ミント氏は述べている。