電力事業用が先行し全体の72%

 2016年のデータをセグメント別にみると、住宅用が4.5 MW(7.5 MWh)、非住宅用54 MW,(68 MWh)、そして 電力事業用が149 MW(181.6 MWh)であった。住宅用と非住宅用は、需要側に設置される蓄電池で、電力事業用は系統側(供給側)に設置される電力会社所有、または電力卸市場に参加している第3者所有の資産を利用した電力購入契約(PPA)に基づいた電力貯蔵システムである。電力事業用は出力では全体の72%を占め、容量においては全体の71%を占めた(図2)。

図2●2016年米国電力貯蔵市場、セグメント別
図2●2016年米国電力貯蔵市場、セグメント別
(出所:SEPA)
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 電力事業用において、カリフォルニア州の導入量は76MW(117MWh)で、出力ベースで全米の45%、容量ベースで全体の62%を占めた。

 同州における“蓄電池導入史”を語る上で、外せない出来事が「アリソキャニオンのガス漏れ事件」だ。2015年10月、カリフォルニア州ロサンゼルス郊外にある天然ガス貯蔵施設でガス漏れが発生した。同州では、天然ガスが火力発電用の燃料として使用されていたため、電力不足が懸念され、同州は電力会社に蓄電池システムの競争入札を指示した。計104MWの蓄電池が入札により調達され、うち70MWは緊急事態に対応するため、6カ月以内に導入された。(関連記事