EV急増の恩恵を受ける

 そして、ここにきて大きな変化が起ころうとしている。今年、EVの販売は世界的に100%増加し、2017年は「転換点」になるとブロムリー氏は語った。EVの販売が増加し、今年は始めてEV用のリチウムイオン電池の生産が民生用を抜くとみている。

 

 定置型蓄電池だけで、このEVの生産スケールに到達することは難しい。リチウムイオンという同じテクノロジーを共有することで、定置型蓄電池はEV用のコスト低減の恩恵を受けることができるのだ(図4)。

図4●BNEF米国太陽光発電アナリストを務めるヒュー・ブロムリー氏が電気自動車の市場拡大を説明
図4●BNEF米国太陽光発電アナリストを務めるヒュー・ブロムリー氏が電気自動車の市場拡大を説明
(出所:J. Movellan)
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 蓄電池の生産に関しては、「太陽光発電と同じ道をたどる」とブロムリー氏は語った。BNEFのデータによると、現在中国が55%のリチウムイオン電池生産の世界シェアを握っている。あと5年後には大半のシェアを中国が独占すると予想している。

 数年前、米EVメーカーのテスラは、車載用蓄電池を応用した定置型蓄電池「パワーウォール・パワーパック」を市場に投入する一方、米住宅・商業用太陽光発電販売・設置でリードするソーラーシティー社を昨年、買収した。ブロムリー氏はこうした先進企業を例にとり、「太陽光発電、EV、そして定置型蓄電池のテクノロジーは統合しています。これらの相乗作用を考慮した戦略が重要になります」と語った。