全米太陽光発電協会(SEIA)と米GTM Research社の最新の太陽光発電市場レポート(U.S. Solar Market Insight Q2 2015)によると、米国の太陽光発電市場は2015年第2四半期時点で累計設置容量20GWを超えた。これは、一般家庭約460万世帯分の年間使用電力量に相当する。

 2015年上半期の導入量は2.7GWで、GTM社は2015年の太陽光発電導入量を前年比16%アップの7.7GWと予想している。つまり、2015年下後半期のみで約5GWが設置されることになる。さらに、2016年の市場は、飛躍的に伸び12GWを超えるとも予想している。これは今後、月平均1GW規模の太陽光発電が米国に導入されることを意味する。

2016年末までに税控除制度の駆け込み需要

 価格低下の他に、成長のドライバーとなるのは、「Investment Tax Credit(ITC)」と呼ばれる投資税控除制度だ。これは2006年から始まった連邦レベルの制度で、再生可能エネルギーの設備投資に適用される。太陽光発電システムの所有者またはプロジェクトデベロッパーは、システム設置にかかる投資額の30%を税額控除できる。同制度は2008年ブッシュ政権下で延長・拡大されたが、2016年末で住宅用については終了し、非住宅用は現在の30%から拡大前の10%に下がることになっている。

 これまでITCは、住宅用、商業・産業用だけではなく、特に発電事業用のメガソーラー(大規模太陽光発電所)の導入拡大の大きなドライバーとなってきた。現在、2016年末にITCが10%に下がる前にプロジェクトを完工するように、多くの大規模システムの建設ラッシュが起きている。

 SEIAとGTM Research社の最新のレポートによると、これまでに累積11.1GW以上の発電事業用のメガソーラーが導入された。現在16.6GWを超えるメガソーラー事業が電力購入契約済みの段階(プロジェクトパイプライン)で、その内5.2GWが現在、建設中である。さらに、28.3GW以上のメガソーラーが計画中(発表済み、電力購入契約前)ということだ(図1)。つまり、建設予定のメガソーラーは45GWに達している。

図1●米国・太陽光発電設備の累積稼働容量、計画容量(出所:GTM Research)
図1●米国・太陽光発電設備の累積稼働容量、計画容量(出所:GTM Research)
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