これまで米国の太陽光発電を含めた再生可能エネルギー導入の主要な牽引役はRPS(再生可能エネルギー・ポートフォリオ基準=Renewable Portfolio Standard)だった。

「再エネ100%」と言うものの…

 RPSは、全ての電気事業者または電力小売事業者に対して、電力販売量の一定割合を再エネから供給することを義務付ける制度である。RPSは州レベルで法律化され、現在29州とワシントンDCで実施されている。

 さらなる「低炭素化」または「脱炭素化」を目指し、多くの州でRPSの義務量を引き上げている。実際、ハワイ州では既に「再エネ100%」が成立しており、カリフォルニア州でもハワイ州に続き、「100%法案」が9月10日に可決されたばかりである(図1)。

図1●「100%法案」への支持を表明するアーノルド・シュワルツェネッガー前カリフォルニア州知事
図1●「100%法案」への支持を表明するアーノルド・シュワルツェネッガー前カリフォルニア州知事
(出所:California State Archive/Peter Grigsby)
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 しかし一方で、義務量を今後、さらに増やし続けても、相対的で効率的な温室効果ガス(GHG)排出量の削減に繋がらない、という分析結果が公表された。

 その背景には太陽光発電の大量導入で生じた電力の需要と供給のミスマッチと、拡大するピーク需要がある。

 2014年のカリフォルニア独立系統運用機関(CAISO)による分析によると、カリフォルニア州のRPS導入目標を2024年に33%から40%に引き上げた場合、再エネ導入量は7%増加するものの、GHG削減量は2%にとどまるという結果となった。