太陽光発電の浸透で経済性が増す

 同レポートでは、これらのタイプごとに、2020年に費用便益がどう推移するかを分析している。蓄電池システムのコストは低下し、これは費用便益比率(B/C)を高める要因となる。一方で、太陽光の浸透率が高まっていき、これは逆に費用便益比率を低下させる要因となる。蓄電池を持たないメガソーラー単独の場合、浸透率15%では費用便益比率が1.5を超えているが、浸透率24%では 比率が1を切ってしまい、費用が便益を上回る(図6)。

図 6● 2020年におけるメガソーラー単独と「メガソーラー+大規模蓄電池」の費用便益比率比較。上から太陽光単独、「独立」タイプ、「ACリンク」、「DCリンク・双方向」、「DCリンク・一方向」(ITC非適用)、「DCリンク・一方向」(ITC適用) 。太陽光浸透率15%(青)、太陽光浸透率24%(赤)
図 6● 2020年におけるメガソーラー単独と「メガソーラー+大規模蓄電池」の費用便益比率比較。上から太陽光単独、「独立」タイプ、「ACリンク」、「DCリンク・双方向」、「DCリンク・一方向」(ITC非適用)、「DCリンク・一方向」(ITC適用) 。太陽光浸透率15%(青)、太陽光浸透率24%(赤)
(出所:NREL)
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 浸透率15%と24%で共に費用便益比率が一番高いのは、「DCリンク・一方向」タイプで蓄電池にITCが適応された(Tight DC-Coupled PV + Storage :ITC Applied to storage)ケースである。

 太陽光の導入が拡大すると、太陽光からの電力が昼間に余剰になり、太陽光の限界価値(マージナルバリュー)が下がっていく。そのため、昼間のメガソーラーの余剰電力を蓄電池に充電、夕方からの需要ピーク時に蓄電池から放電して、系統に供給される電力量を増やすことにより、「メガソーラー+大規模蓄電池」の便益が高くなる。