浸透率6%では「太陽光単独」が有利だが…

 米国国立再生可能エネルギー研究所(The National Renewable Energy Laboratory: NREL)は、2020年には「大規模太陽光発電(メガソーラー)+大規模蓄電池」システムがメガソーラー単独のシステムより経済メリットが高まる、とするレポートを発表した。

 蓄電池システムのコストは下がってきてはいるものの、依然高いレベルにある。発電事業用の「メガソーラー+大規模蓄電池」とメガソーラー単独のシステムについて、発電所の設計、建設から運営、廃止までの全てのコストを、生涯発電量で割った均等化発電原価(Levelized Cost of Electricity : LCOE)で比べた場合、「メガソーラー+大規模蓄電池」の方が常に高くなる。

 これに対し、今回のNRELのレポートは、コストだけではなく、蓄電池が加わったことにより創出される価値を考慮し、便益(B=ベネフィット)と費用(C=コスト)の比率(B/C)で見る費用便益分析が行われた。具体的には、蓄電池設置による年間エネルギー収入と容量の価値(便益)を年間資本と運営コストで割ったものを比べた。

 現在の太陽光の浸透率は6%だが、このケースではメガソーラー単独のシステムの方が、「メガソーラー+大規模蓄電池」のシステムより費用便益分析で優れるが、太陽光の浸透率が上がると分析結果が大きく変わる結果となった(図1)。

図1●現在(太陽光浸透率6%)におけるメガソーラー単独と「メガソーラー+大規模蓄電池」の費用便益比率比較。上から太陽光単独、「独立」タイプ、「ACリンク」、「DCリンク・双方向」、「DCリンク・一方向」(ITC非適用)、「DCリンク・一方向」(ITC適用)
図1●現在(太陽光浸透率6%)におけるメガソーラー単独と「メガソーラー+大規模蓄電池」の費用便益比率比較。上から太陽光単独、「独立」タイプ、「ACリンク」、「DCリンク・双方向」、「DCリンク・一方向」(ITC非適用)、「DCリンク・一方向」(ITC適用)
(出所:NREL)
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