米Tesla社が米SolarCity社を合併するニュースが業界を騒がしている。これは、米国で今後、「ソーラー・プラス・バッテリー(分散型太陽光発電と蓄電池)」市場が大きく成長していくことを意味する。

「ビハインド」は前年比3倍に急伸

 米クリーンエネルギーリサーチ・コンサルティング会社のGTM Research(以下GTM) 社によると、今年第1四半期 (1~3月)における米国エネルギー貯蔵 設置容量は前年同期比127%増の18.3MWと、大きく拡大した。

 特に成長した分野は、「ビハインド・ザ・メーター(behind-the-meter)」と呼ばれる電力消費者の電気メーターの背後に設置される蓄電池である。これらの蓄電池は主に分散型太陽光発電と併設され、電力消費者サイトで発生した太陽光発電の余剰をグリットに流さずに貯め、自家消費用に使うものである。

 「ビハインド・ザ・メーター」に対する概念は「フロント・オブ・ザ・メーター (Front of the Meter)」と呼ばれ、主に電力会社などの電力供給側に設置された蓄電池を示す。GTM社によると、フロント・オブ・ザ・メーター側の設置容量は、前年同期比で2倍に拡大したが、ビハインド・ザ・メーターは前年同期から3倍とさらに大幅に成長した。これは、州政府の分散型電源の大量導入による制度改革を反映している(図1)。

図1●2016年第1四半期に大きく伸びた米国蓄電池市場
図1●2016年第1四半期に大きく伸びた米国蓄電池市場
(出所:GTM Research社)
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