テスラのソーラーシティ買収が引き金

 米国で家庭向けに太陽光発電システムと蓄電池システムを併用する市場が立ち上がってきた。こうしたなか、蓄電池メーカーが太陽光発電システムの大手インストーラー(施工業者)との合従連衡を進める動きが激化してきた。

 急先鋒は電気自動車 (EV) と蓄電池メーカーの米テスラである。同社は2016年、米国住宅用市場でシェア1位の米ソーラーシティ(SolarCity)を買収し、定置型蓄電池の販売ルートを太陽光発電市場へ拡大した。ソーラーシティは、「初期費用なし、電気料金即削減」という 「第3者所有(Third-Party Ownership:TPO)モデル」で急成長していた。

 この買収により、米国太陽光発電市場における提携関係に変化が起こった。

 これまで米国の住宅向け太陽光発電システムのインストーラーは、コスト削減と供給確保のため複数の太陽光パネルメーカーと契約を結んできた。

 だが、蓄電池に関しては「独占契約」を選択し始めたのである。ナンバー1のソーラーシティがテスラと独占契約したのに続き、ナンバー2の米サンラン(Sunrun)は韓国のLG化学(LG Chem)と、ナンバー3のビビントソーラー(Vivint Solar)はドイツのメルセデス・ベンツと提携した(図1)。

図1●米国住宅用太陽光発電市場における蓄電池で競争を繰り広げるテスラ(左)、LG化学
図1●米国住宅用太陽光発電市場における蓄電池で競争を繰り広げるテスラ(左)、LG化学
(中央)、メルセデス(右)の製品(出所:テスラ、LG化学、メルセデス・ベンツ)
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