米国を代表する太陽光パネルメーカーとしては、高変換効率の結晶系太陽電池で世界をリードしてきたサンパワー (SunPower) と、テルル化カドミウム (CdTe)を使った化合物型太陽光パネルのトップメーカーであるファーストソーラー(First Solar)の2社が挙げられる。この2社に続いて、独自技術を武器に存在感を示し始めたベンチャー企業が登場した。

「短冊」を瓦のように重ねる

 はんだ付けでなくセル(発電素子)を直接、接続するタイプの「高密度実装モジュール」を開発・販売しているソラリア(Solaria)である。同社は、カリフォルニア州フレモントに拠点と、セルの生産工場を構えている。ちなみにテスラ社の電気自動車(EV)工場は、ここから10分ほどの距離にある。

図1●ソラリア社の高密度実装モジュール「PowerXT」
図1●ソラリア社の高密度実装モジュール「PowerXT」
(出所:Solaria)
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 同社は当初、集光型太陽光発電(CPV)に特化したスタートアップ企業として2000年に設立された。その過程で100件以上の 基板材料、工程、応用、製品、製造機械、自動化などの特許を取得した。 

 そうした技術蓄積をベースに、高密度実装モジュール「PowerXT」を開発した。PowerXTは、単結晶PERC(Passivated Emitter and Rear Cell:裏面不動態型セル)を用いた住宅用太陽光パネル(320~330W/枚)で、変換効率は19%以上である(330W/枚タイプの変換効率は19.3%)。通常の ウエハーを短冊形にカットしたもの(ストリップと呼ばれる)を17枚、瓦のように重ね直接接続して1枚の「PowerXTセル」を製造する(図1)。