両制度を合わせるとインパクトは小さい

 LBNLの分析によると、「固定費回収」が適用された場合、2050年における太陽光発電の導入量は参考値と比べると、さらに8%高くなり、「時間帯別料金」を適用した場合は参考値より5%低くなっている(図3)。

図3●米国における分散型太陽光発電のシナリオ別・累積導入量予測(緑点線:固定費回収適用、オレンジ点線:時間帯別料金制度適用、青線:両方の制度を適用)(出所:Lawrence Berkeley National Laboratory)
図3●米国における分散型太陽光発電のシナリオ別・累積導入量予測(緑点線:固定費回収適用、オレンジ点線:時間帯別料金制度適用、青線:両方の制度を適用)(出所:Lawrence Berkeley National Laboratory)
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 「固定費回収」は太陽光発電の導入を加速させ、「時間帯別料金」は太陽光発電導入を減速させる。そこで、相反する結果をもたらす両制度の要素をうまく取り入れた制度を設計すれば、互いの影響を相殺し合うので、全体的に見ると影響は微々たるものになるという。その場合、2030年の太陽光の導入量は参考値より約0.9%増で、2050年は2.1%増となっている。

 米国では、固定費回収政策で引き起こされる「デス・スパイラル」に対して、送配電インフラの維持を脅かす大問題として、太陽光の大量導入を抑制する論拠に使われることもある。だが、レポートでは、買取制度に「時間帯別料金」の要素を制度変更に取り入れることで、デス・スパイラルから脱する可能性も示しており、「太陽光発電の導入加速が送配電インフラに及ぼすネガティブな影響は、誇張に過ぎない」と、結論付けている。