「仮想発電所」で投資抑制と新収益確保

 電力会社が蓄電池を所有することで、現時点では高額な蓄電池をより早く市場に導入できる。さらに将来、「第3者所有モデル」(電力会社以外の民間企業による所有)に展開する際の貴重なデータを収集できる。Con Ed社は全てのシステムを合わせた発電量を卸電力市場、または電力小売り市場で販売する権利を持つ。

 このパイロットプログラムで重要な点は、電力需要家が災害時でも使用できるクリーンなエネルギー源にどれだけの価値を見出すのか、一方で電力会社が「災害に強い」電力サービスを「いくら」で消費者に提供できるか、ということである。これらが噛み合うことが、事業的に発展する前提となる。

 高度なEMS(エネルギー管理システム)のソフトウェアで太陽光や分散型蓄電池を統合的に制御した「仮想発電所」が軌道に乗った場合、Con Ed社は、多くの利点を享受できる。

 ピークの受電量を抑制し、電圧や周波数変動を安定化することで、送電網への投資や保守コストを抑制できる一方、容量市場(キャパシティ市場)と卸電力市場を活用することで新たな収入を得ることも期待できる。そうして結果的に今後、配電網にいっそう多くの太陽光の導入が可能になる。