価格を大幅に超えるエネルギー価値

 住所しかインプットしていないので、計算にどのような推定が使用されたか見てみると、屋根面積は4207平方フィート(390m2)、月々の電気料金は288米ドルとなっていた。同じ住所をグーグル・サンルーフプロジェクトサイトにインプットすると、太陽光発電システムの設置可能な屋根面積は881平方フィート(81.8m2)となっている。

 つまり、テスラ社の計算は、筆者の住む実際の家の屋根よりも約5倍も大きい面積が使われており、電気料金も約3倍に設定されていた。テスラ社がどのようなデータを基に屋根面積と電気料金を想定しているのかは公開されていない(図3)。

図3●グーグル・サンルーフプロジェクトによる各住宅の太陽光発電システム設置容量と発電量見積もり
図3●グーグル・サンルーフプロジェクトによる各住宅の太陽光発電システム設置容量と発電量見積もり
(出所:Google)
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 そこで、テスラ社のサイトに戻って、ソーラールーフ計算機に屋根面積と月々の電気料金を正しくインプットしてみた(図4)。すると、システムコストは2万3300米ドル、ソーラー・タイルと非ソーラー・タイルの比率は50%となった。ちなみに、このソーラールーフシステムが将来30年間にわたり創出する「エネルギーの価値」は、3万7200米ドルと計算されている。

図4●テスラ社、ソーラールーフの設置コスト計算結果
図4●テスラ社、ソーラールーフの設置コスト計算結果
(出所:Tesla)
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 「エネルギーの価値」は、購入希望者の住む住所における電力会社の現在の電気料金単価をもとに、年間2%の値上げ率、ソーラールーフ・タイルの発電保証期間の30年で計算されている(図4)。

 「エネルギーの価値」は、システム価格を大きく上回っているので、その試算ではお得なようだ。グーグル・サンルーフプロジェクトによると、この規模の住宅では電力需要の95%を賄う3.75kWシステムが好ましいとし、システム設置コストは1万5172米ドルと見積もっている。設置に使用される屋根面積は264平方フィート(24.5m2)と出ている。ちなみに、この見積もりはシステムの発電期間が20年となっている。

 果たして、ソーラールーフは従来のシステムに比べてかなり高いと結論付けられるのだろうか?