料金を「エスカレーター」で上げていく

 電気料金単価はTPOを展開する上でとても重要な要素だが、さらにネットメータリング制度(余剰買取)、補助金、税金控除、環境価値の市場の有無も大きく影響する。州、市、電力会社ごとに違うので、かなり複雑になる場合もある。実際、ネバタ州が分散型発電の余剰電力の買取価格を小売価格から卸価格に下げ、システム所有者には月々特別な基本料金を足したので、ソーラーシティ社はネバタ州から撤退した。

 TPO顧客には電力単価だけではなく、もう1つチェックすべき点がある。それは「エスカレーター」と呼ばれるもので、いわゆる電気料金値上がり率だ。一般的なTPOの契約期間は20年で、この期間は、固定された率で毎年電力料金単価を上げるのである。

 同社のレポートによると2015年第4四半期における平均エスカレーターは2.0%になっている。他のレポートによるとアリゾナ州の平均エスカレーターは2.9%となっている。この率も州によって異なるようである。

 ソーラーシティ社によると、米国全体の2004年から2014年にかけての電気料金値上がりの年平均上昇率(CAGR)は3.4%になるという。ただし、同社がビジネスを展開する州に限っては全国平均を上回り4.1%になっている(図4)。

図4●米国住宅用電気料金値上がり率(出所:SolarCity社の2015年第4四半期決算報告資料より抜粋)
図4●米国住宅用電気料金値上がり率(出所:SolarCity社の2015年第4四半期決算報告資料より抜粋)
[画像のクリックで拡大表示]

 つまり、同社が提供する電力料金単価が従来の電力会社より安く、同社のエスカレーターが電力会社の電気料金の値上がり率を下回る限り、TPOの顧客は太陽光発電に替えることで、電気代削減に成功する、というわけである。

■変更履歴
2ページ目の本文と、図1の解説文で、ニューヨーク州としていましたが、ニュージャージー州です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2016/6/24]