TPOモデルの事業性は電気料金に左右

 TPOPPAモデルの場合、顧客が屋根上に設置したシステムから発電した電力を全て購入することになっている。設置容量は、顧客の年間電気消費量の50~90%をまかない、それ以上の消費量は従来の地域の電力会社から購入することになっている。

 顧客は、ソーラーシティ社がはじき出した電気料金単価で契約を交わす。この単価は日本エコシステムの「じぶん電力」の提供する「地域一律」と違い、州、市、電力会社の管轄エリアによって変わってくる。

 日本では電気料金単価が地域間で大きく変わらないが、米国では州によって電気料金に大きな差がある。米国の平均が1kWh当たり10セントだとしても、ハワイ州ではその3倍の30セント、ワシントン州だと平均を下回る7セントと安い。

 ソーラーシティ社のようにkWのシステム販売ではなく、kWhの電力販売になると、地域の電気料金単価がビジネス展開に大きな影響を与える。なぜなら、電気料金単価の高い地域では、グリッドパリティーが達成され、太陽光発電単価が購入する電気料金よりも安く提供できるからだ。

 同社は、ビジネス展開している州と電気料金単価の関係を図表で公表している(図3)。電気料単価が最も高いハワイ州はもちろんのこと、カリフォルニア州、コネチカット州、ニューヨーク州を含む主に単価が13セント以上の州で事業展開している。ちなみに、同社の2015年第4四半期における平均電力単価は12セントになっている。

図3●米国における州別の住宅用電気料金単価の比較(出所:SolarCity社の2015年第4四半期決算報告資料より抜粋)
図3●米国における州別の住宅用電気料金単価の比較(出所:SolarCity社の2015年第4四半期決算報告資料より抜粋)
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