ソーラーシティ社が急成長

 TPOで急成長してきた典型が、ソーラーシティ(SolarCity)社だ。2006年に起業家兄弟が、「もっと簡単に温暖化対策ができる方法」を求め、カリフォルニア州北部で創業した。ソーラーシティ社は太陽光エネルギーのトータル・ソルーション・プロバイダーとして、太陽光発電システムの設計・設置・販売、ファイナンシング、運営、メインテナンスだけでなく、太陽光パネルの製造も行っている。

 ソーラーシティ社は「初期費用なし、電気料金即削減」で今まで太陽光発電を設置できなかった家庭の多くをTPOPPAの顧客に転換することに成功した。2014年米国住宅用市場の33%シェアを握り、他社を大きく引き離した。同社の2014年度の住宅用販売量は426MWで、2015年度は72%増しの731MWとなっている。

 さて、同社が主体とするTPOモデルは、太陽光発電システムを無料で提供し、家庭の屋根に設置する。そして、太陽光発電を従来の電力会社の電気料金単価より低い値段で提供する。つまり、太陽光発電システムはタダで、電気代も前より安い、というわけだ。

 同社の公表するサンプルを見ると、今まで年間2259米ドルの電気代を支払っていた家庭が、ソーラーシティ社のTPOに乗り換えたことで、年間の電気代が1848ドルに下がった(図2)。安くなった理由は、太陽光発電の1kWh当たりの単価が15セントに対して、従来の電力会社の単価が19セントだからである。

図2●太陽光発電でよりクリーンで安い電気を供給(出所:SolarCityの2015年第4四半期決算報告資料より抜粋)
図2●太陽光発電でよりクリーンで安い電気を供給(出所:SolarCityの2015年第4四半期決算報告資料より抜粋)
[画像のクリックで拡大表示]