世界最大のスーパーマーケットチェーンWalmart社を筆頭に、米国最大の住宅リフォーム小売チェーンHome Depot社、ディスカウント百貨店チェーンTarget社──こうした広大な陸屋根を持つ大規模小売店舗は「ビッグボックスストアー」と呼ばれ、米国のいたる所で見かけることができる。これらのビッグボックスストアーが、米国のさらなる太陽光発電市場拡大の大きな潜在性を秘めているのだ(図1)。

図1●Target店舗屋上に設置された太陽光発電(出所:Centerplan Companies)
図1●Target店舗屋上に設置された太陽光発電(出所:Centerplan Companies)
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太陽光発電に適した屋根面積は418km2

 2月中旬に米国NPO(非営利組織)法人Environment America Research & Policy Centerが発行した新しいレポート「Solar on Superstores(スパーストアーに太陽光発電を)」によると、米国のビッグボックスストアーの屋上スペースを合わせると45億平方フィート(418km2)以上になり、何と62.3GW分の太陽光発電を設置できるという。この容量は一般家庭711万軒分の年間電力消費量に匹敵する。

 ちなみに、レポートの対象となったビッグボックスストアーとは、食料、衣料、食品雑貨、家具などを販売する売り場面積が2322m2を超える店舗で、その総数は10万2148店に達する。これら全店舗を合わせた総屋根面積は72億平方フィート。屋根の向きと傾斜、店の立地場所、影、周りの建物などを考慮した場合、太陽光発電に適した屋根面積は45億平方フィート(418km2)になる。

 レポートに含まれた店の1店舗当たりの年間平均電力消費量は1800MWhで、約19万米ドルの電気料金になる。全ての店舗を合わせた電力消費量は、全米電力消費量の5%に匹敵する。もし、これらの店舗に太陽光発電を設置した場合、分散型電源による発電電力の42%を相殺できる。これらのビジネスは少なくとも年間82億米ドルの電気料金を削減できると予想されている。

 さらに、これらの店舗は、屋根上に太陽光発電を設置することにより、昼間はシステムの影で、そして夜間はシステムの断熱効果で、冷房暖房などの光熱費を下げることもできる。