今回は、スマートフォンとそこに搭載されるチップセットの動向を解説したい。日本企業はスマートフォンの端末やチップセットでは存在感を失っているが、電子部品や製造装置などの周辺領域では依然、重要なプレーヤーが多い。スマートフォンは市場成長の鈍化が指摘されてはいるものの、そこに搭載される半導体や電子部品の技術革新を牽引する巨大市場であることに変わりはない。

 スマートフォンとチップセットの市場動向について見る前に、スマートフォンで利用される無線通信技術、特にLTEと5Gの状況を把握しておこう(図1)。

 スマートフォンの無線通信技術については、2016年に3GPPのRelease 13規格が策定され、2017~2018年にはRelease 14とRelease 15が策定される見込みだ。Release 13に含まれるスマートフォン向け仕様にはLAA(Licensed Assisted Access)、およびUnlicensed Bandを用いたキャリア・アグリゲーション(Carrier Aggregation)がある。Release 14以降は5G規格を含めた仕様策定が議論される。

図1●LTE規格のロードマップ(出所:テクノ・システム・リサーチ、以下同)
図1●LTE規格のロードマップ(出所:テクノ・システム・リサーチ、以下同)
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