2016年5月13日に日立製作所の決算発表が行われ、大手電機メーカー8社の2015年度決算が出そろった。同年度は東芝とシャープの2社が良くない意味で特に注目された1年だったが、それ以外の企業も全体的に減益基調である。2016年度の見通しもおおむね芳しくなく、次の成長に向けた具体的な戦略を立てられずにいる各社の悩みが表面化している形だ。以下では、各社の決算を見ていこう。

東芝は主要部門すべてが赤字に

 東芝の2015年度売上高は5兆6701億円と、前年度比7.3%の減収。営業損益は同9075億円悪化して7191億円の赤字となった*1。キヤノンへの売却が決まった東芝メディカルシステムズの業績は、既に連結から除外している。

*1 編集部注:2016年5月12日の発表値。同社は同年5月23日に決算を修正し、売上高を5兆6686億円、営業損益は7087億円の赤字に訂正した。

決算資料よりIHS Technology作成
決算資料よりIHS Technology作成
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 電力・社会インフラ部門は若干の増収だったものの、資産の評価減やリストラ費用、不採算案件の引き当てなどで4014億円の特別損失を計上。部門全体では3822億円の赤字に陥った。コミュニティ・ソリューション部門も東芝テックの資産評価減などで1068億円の特別損失を計上し、763億円の赤字である。

 電子デバイス部門は、1580億円の特別損失を含めて1017億円の赤字。前年度に2166億円の営業利益を叩き出した同部門は、メモリーの売価下落やその他半導体の需要減で業績が大きく悪化している。ライフスタイル部門も588億円の特別損失を含めて1318億円の赤字である。

 2016年度は全部門の黒字化を前提に1200億円の営業利益を計上するとの見通しを同社は示しているが、達成は容易ではないだろう。株主資本比率は5.8%にまで低下しており、これ以上赤字決算を続けると債務超過に陥りかねない。当面は正念場が続く。