本コラムではこれまで、半導体の売上高ランキングや消費額ランキングを取り上げてきた。売上高ランキングでは、パソコン向け比率の高いメーカーが苦戦し、スマートフォン向け比率の高いメーカーが健闘していることを紹介した。消費額ランキングでは、スマートフォンの大手メーカーがトップ10に名を連ねたことなどに触れた。

 今回は、アプリケーション(分野)別にもう少し詳細な分析をしよう。分野ごとに売上高上位の半導体メーカーの顔ぶれは大きく変わるので、各社の特徴や動向に注目すると興味深い分析ができる。以下では、データプロセッシング(Data Processing)、有線通信機器(Wired Communications)、無線通信機器(Wireless Communications)、民生機器(Consumer)、車載機器(Automotive)、産業機器(Industrial)の6分野の動向を見ていこう。

データプロセッシングは4社で寡占

 データプロセッシングはいわゆる情報処理機器の分野で、パソコンやサーバー機、SSD、コンピューター周辺機器などに向ける半導体が中心だ。半導体の供給先となる大手機器メーカーには、米Apple社や中国Lenovo社、米Hewlett-Packard(HP)社、米Dell社などがある。

表1●データプロセッシング分野の半導体売上高ランキング(出所:IHS Technology)
表1●データプロセッシング分野の半導体売上高ランキング(出所:IHS Technology)
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 この分野の主要半導体メーカーを表1に示した。米Intel社が単独で40%近いシェアを誇り、これに大手メモリーメーカー3社のシェアを加えると70%近くに達する。2015年の動きとして大きかったのは、韓国SK Hynix社と米Micron Technology社の順位が入れ替わったこと。Micron社はメモリーメーカーの中では相対的にモバイル端末向け比率が低く、そのことが業績低迷の要因として挙げられる。コンピューターやSSD向けでも苦戦しているようだ。