2016年に入って世界中の株式市場で株価が下落しており、マクロ経済の見通しについて慎重な見方が増えつつある。この影響はエレクトロニクス産業にも表れており、これまで急拡大を続けてきたスマートフォン市場も踊り場を迎えている。大手エレクトロニクス企業の2015年10~12月期決算から、業界の今を読み解こう。

 これまで破竹の勢いだった米Apple社の2015年10~12月期は、売上高が前年同期比1.7%増の759億米ドル、営業利益が同横ばいの242億米ドル、純利益は同1.9%増の184億米ドルと、ほぼ前年比横ばいだった。

 10~12月期のiPhone販売台数は7470万台(前年同期は7450万台)、iPadは1610万台(同2140万台)、Macは530万台(同550万台)と、前年比で微増または減少。サービス(iTunes、Apple Payを含む)は前年同期比26%増の60億5000万米ドル、その他(アクセサリとApple Watchを含む)は同62%増の43億5000万米ドルと好調で、端末販売の不振を補った。

 iPhoneの販売台数はこの先減少に転じる見込みで、多くのデバイス(部品)メーカーが減産を懸念している。特に、Apple社にとって最大の市場である中国の景気後退は大きなマイナス要因だ。電気自動車(EV)市場を本格的に立ち上げるのはApple社ではないか、といった話題には事欠かないが、直近の市場に需要をもたらすネタには乏しい。2016年は同社にとって厳しい年になるだろう。