昨年11月の本コラムでは、国内大手電機メーカー8社の中間決算を分析した(関連記事)。前年に比べて極端な円高が進行したこともあり、各社とも厳しい決算を余儀なくされたが、彼らを顧客に持つ半導体商社にとっても事業環境は厳しかった。

 国内半導体市場の低迷やメガ・ディストリビューターとの格差の拡大、半導体メーカー同士のM&Aに伴う商権の見直しなど、半導体商社を取り巻く環境は厳しさを増している。今回は各社の現状を分析しつつ、取り得る方策について考察したい。

 図1に、主な国内半導体商社の2016年度および2015年度の上期売上高を示した。16社のうち、前年同期比で増収となったのは東京エレクトロンデバイス(TED)のみ。他はいずれも減収である。落ち込みが特に大きいのが黒田電気で、大型液晶パネルの単価下落やHDD(ハードディスク装置)向け部品需要の低迷、中国スマートフォン向け小型液晶パネルの需要減などで、売上高は前年同期比28.6%減となった。同社を含む8社が前年同期比2ケタ%の減収であり、大手電機8社の売り上げの傾向と強い相関が見られる。

図1●主な国内半導体商社の2016/2015年度上期売上高(出所:各社決算資料を基にIHS Technologyが作成)
図1●主な国内半導体商社の2016/2015年度上期売上高(出所:各社決算資料を基にIHS Technologyが作成)
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 次に各社の営業損益を見てみよう(図2)。ほぼ前年並みの営業利益を維持したバイテックを除く全社が、減益である。特に丸文、三信電気、TEDの3社は営業赤字に転落した。

 設備投資や研究開発関連の先行投資を必要とするメーカーと異なり、商社が営業赤字に陥ることはまれ。今回は、急激な円高に対応しきれなかったことが赤字の大きな要因となったようだ。赤字でない企業も、収益圧迫の最大要因に円高を挙げているところが多い。

図2●主な国内半導体商社の2016/2015年度上期営業損益(出所:各社決算資料を基にIHS Technologyが作成)
図2●主な国内半導体商社の2016/2015年度上期営業損益(出所:各社決算資料を基にIHS Technologyが作成)
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