台湾Innolux社の2017年度3Q(2017年7~9月)決算は、売上高が前年同期比7%増、前四半期比6%減の795億800万台湾ドル、売上総利益が前年同期比84%増、前四半期比23%減の161億6500万台湾ドル、営業利益が前年同期比182%増、前四半期比31%減の108億9500万台湾ドル、当期利益が前年同期比186%増、前四半期比28%減の87億5700万台湾ドルだった。

 売上総利益率は20.3%(2Qは24.9%)、営業利益率は13.7%(同18.7%)、当期利益率は11.0%(同14.3%)。いずれも2Q(2017年4~6月)に記録した過去最高から低下した。

台湾Innolux社の2017年度3Q決算
台湾Innolux社の2017年度3Q決算
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 2017年度4Q(2017年10~12月)のガイダンスは、以下の通り。

1)大型パネルの出荷数量は3Qから横ばい、平均販売単価(Blended ASP)は1桁半ばの%下落を想定。
2)中小型パネルの出荷数量は3Qから1桁後半%の減少、平均販売単価は1桁後半の%下落を想定。

 Innolux社の2017年度3Qは、売上高、 営業損益、当期損益ともにサプライズはなし。パネル価格低下に伴い、利益率は過去最高だった2Qからは低下したものの、営業利益率は2桁を維持するなど良好な内容。売上総利益率(粗利率)は20.3%で前四半期比4.6ポイント減、下落幅は台湾AUO社の2.8ポイント減を上回っており、韓国LG Display社の4.8ポイント減に近い水準。ただし、売上総利益率の絶対水準はAUO社の17.5%(太陽電池などを含む数値)、LG Displayの18.0%を上回り、トップの座を維持。営業利益率の13.7%も、AUO社の11.1%、 OLEDの赤字が続くLG Display社の8.4%を上回った。

 在庫回転日数は、2016年度4Q末時点の31日で底を打った後、2017年1Qが34日、2Qが39日と2四半期連続で長期化したあと、3Qは45日と更に悪化した。AUO社の3Q在庫回転日数が32日、LG Display社が同40日へと前四半期から改善したのとは対照的だ。Innolux社は在庫堆積に対して他社より寛容であり、39.5型、50型、65型などのパネル在庫水準が高めと見られる。加えて、中国顧客向けなどで使っている数社の流通業者にはそれぞれ一定水準の在庫があると考えられるため、実際の在庫水準はバランスシートに公表されている数値以上である可能性が高い。