シャープの経営について、ここ2回で再考してきた本コラム。今回はジャパンディスプレイ(JDI)および鴻海(Hon Hai)グループとの提携の可能性を検討したい。

 まず、ジャパンディスプレイとの提携については、技術やコストなどの面でメリットを見込める。だが、実現に向けたハードルは高いと我々は見ている。

 ジャパンディスプレイは、シャープと同じ日本企業であるうえに、中小型パネル事業に特化しており、シャープとは技術的な補完関係もある。さらに、政府や関連機関がシャープの技術の海外流出を防ぐための措置を取る可能性もある。これらのことから、ジャパンディスプレイと提携する可能性の有無を問われれば、その解は「有」だろう。

 ジャパンディスプレイがスマートフォン向けを中心とする小型LTPSパネルだけでなく、15型程度までの中型パネルにも注力する方針を採れば、シャープのOxide(IGZO)技術や亀山第2工場(G8)の生産能力は大きな魅力と映るはずだ。ジャパンディスプレイが出資し、高分子・インクジェット方式の有機ELパネルを手掛けるJOLEDに関しても、ベース基板としてLTPSではなくシャープのIGZOパネルを使うことができれば、コストメリットは大きい。

 販売先に目を向けても、ジャパンディスプレイにとっては、米Apple社向けではiPhoneでのシェアが6割以上に高まり、iPad向けパネルにも新規参入できる。将来的にはMacBookにIGZOパネルが採用されることも考えられる。

 中国ブランド向けでも、日本メーカー同士の不要な価格競争を回避できるなどメリットは大きい。車載向けでは金額ベースで両社が1位と2位を占めており、大きな相乗効果が見込める。