シャープが再び大きな岐路に立っている。本レポートでは、筆者の考えを3回に分けて述べたい。まずは、すべての前提となる、業績見通し(2015~2017年度)をまとめた。2015年度の営業損益は254億円の赤字と、同社計画(800億円の黒字)を大きく下回る厳しい内容を予想している。

 2015年度の売上高は前年度比7%減の2.59兆円、営業損益は同227億円改善の254億円の赤字、当期損益は同1102億円改善の1121億円の赤字を予想する。

 売上高は、プロダクトビジネス部門では、デジタル情報家電が液晶テレビの需要停滞や事業構成見直しで減収、通信と健康・環境が横ばい、エネルギーソリューションが国内市場縮小で減収、ビジネスソリューションが市場並みの増収になるとみる。

 デバイスビジネスに関しては、液晶が亀山第2工場(G8)の中小型比率の伸び悩み、多気工場(G4.5/LTPS)の極端な低稼働、1500億円にも及ぶ多額の在庫消化(そのための価格引き下げ)などから、前年度比2ケタ%の減収(-13%)を予想している。この予想には、CEC Panda G8からの生産能力獲得やロイヤリティー収入は前提に入れていない。

 電子デバイスは米Apple社向けのカメラモジュール(iPhone6向け)が上期は好調に推移。下期は6sでのシェア低下を想定するものの、通期では前年度比2ケタ%の増収を予想する。

 全体では、売上高は会社計画の2.8兆円(前年度比0.5%増)に達しないとみる。営業損益は、通信は会社計画を上回り、ビジネスソリューション、エネルギーソリューション、電子デバイスは会社計画並み、デジタル情報家電とディスプレイビジネスは会社計画を大きく下回ると予想している。この結果、全社営業損益は会社計画の800億円を大きく下回るとの予想になる。

 営業外損益は計600億円程度を織り込み、ネットの営業外損益は400億円のマイナスを前提とした。特別損益については、資産売却益などで300億円の利益を想定する一方、早期退職関連費用約300億円(うち国内243億円)、米州でのテレビ事業収束関連の費用約100億円、一部設備の減損約100億円を織り込み、特別損益はネットで350億円のマイナスとした。営業外損益や特別損益に、液晶工場の稼働損や在庫の評価損などは織り込んでいない。

 キャッシュフローについては、減価償却約980億円、設備投資800億円を前提に、営業キャッシュフローが90億円のマイナス、フリーキャッシュフローが約530億円のマイナスを想定している。ただし、2014年度と同様、設備投資金額を計画から圧縮することにより、最大200億~250億円程度のフリーキャッシュフローを追加で創出することは可能だろう。