米Apple社がiPhoneに有機ELパネルを採用する理由の一つには、液晶パネルと比べて形状・外観設計上の自由度が高いことがあると見られる。典型例が、フレキシブル基板を用いた「折りたたみ型」パネルなどだ。製品の性能のみならず外観を重視する同社が、設計自由度が高い有機ELパネルの採用に向かうことに違和感はない。現在想定される導入スケジュールは以下の通りである。

 まず2017年に5.8型など「iPhone 7s Plus」の上位機種として部分的に導入。2018年の「iPhone 8」で4.7型や5.5型に導入し、2019年の「iPhone 8s」で4.0型を含む全機種に導入する。こうしたシナリオが、有機ELシフトの最速ケースだろう。

 少なくとも2019年まではせいぜい曲面パネルの採用にとどまり、折りたたみ型に関しては、Apple社の品質要求の高さを考えると2020年以降ではないか。その方式は、低分子材料を用いたRGB蒸着になると見ている。主要パネルメーカーの生産能力投資がiPhoneの液晶パネル置き換えに必要な水準をはるかに超える可能性が高いことから、中長期的にはiPadやMacBookなどにも採用される可能性があるだろう。